アルバム"Arbeit macht frei"収録
Demetrio Stratos - vocals, organ,
Eddie Busnello - saxophone
Giulio Capiozzo - drums, percussion
Patrick Djivas - bass,
Patrizio Fariselli - pianos
Giampaolo Tofani - guitar, VCS3
"Area"のデビューアルバムの最初を飾る曲です。
アラブ語のコーランの一節のようなモノローグから始まります。アルバムタイトルの
"Arbeit macht frei"はナチスがユダヤ人を惨殺したアウシュビッツ収容所の入り口に掲げられていた『強制収容所のスローガン』で、『労働は人間を自由にする』と訳されます。
"AREA"が特にデビュー初期の頃に政治思想を音楽に反映させていたのは事実ですが、
ラジカルな左翼思想家、というのとは違います。
作品を通して聴くと、そうではないことがわかります。
イタリアと言えばムッソリーニによるファシズム政権による
第二次大戦時のイメージが強く残忍な独裁国家!の負のイメージを持たれる方が多いと思います。しかし丁寧に歴史をみてみると、そう簡単に言いきれるものでもなく、
ローマ帝国を祖とするイタリアだけにその歴史の事実の奥には深いものがあります。
ドイツと同盟を結んでいたのは事実ですが、ムッソリーニはナチスの反ユダヤ主義を痛烈に批判していますし、経済面でも好実績をだし国民の支持が高かったのも事実です。
しかし判断を過って第二次大戦を敗戦国となったのち、イタリアは共和制となり人々の生活も社会状況も不安定になりました。
"AREA"がナチスによる惨殺をイメージさせるこの言葉をデビュー作品のタイトルにしたのは社会主義,修正共産主義,議会制民主主義,全体主義でいまだに揺れているイタリアの現状への正直な民衆のやりきれなさ、と歴史が残したそれぞれの主義の負の遺産へ目を向けさせる意図があったような気がするのです。
この曲からは多文化・多民族への敬意と多様性への愛情が感じられます。
こちらは今でいうところのビデオクリップ的目的で制作された映像です。
"AREA"がヨーロッパの先進的アーティストたちに、今でも高く評価されているのは
作品に音楽だけではない主張を音楽的に織り込んだところ、つまり
現代音楽的表現ではっきりと主張を整合性があるカタチにつくりあげたところに
あるのだと思います。
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